肝臓の調整により、自律神経症状が改善した症例



本日は、
「肝臓の調整により呼吸が深くなり、副交感神経を優位にすることで、自律神経症状が安定した症例」

について報告させていただきます。


まずは内臓と呼吸、自律神経のメカニズムについて簡単に説明いたします。



内臓と呼吸



通常の呼吸では、上の図のように、

息を吸うときは肺に空気がはいるため、横隔膜が下がり、

息を吐く時に肺から空気が抜けるため、横隔膜が上がります。


また横隔膜は下にある肝臓とも連結しているため、肝臓の状態も強く受けることになります。

肝臓は疲弊すると、腫れて下方に垂れ下がる形になります。

暴飲暴食やアルコールの過度な摂取が、肝臓が下方に下がる原因です。


そうなると、重い臓器である肝臓に、横隔膜が引き下げられる格好となり、

吐く時に横隔膜は上に上がっていきますが、既に引き下げられているため、これ以上深く息を吐けない状態となります。


深呼吸はリラックスする時に行う、
とご存知の方もいらっしゃると思いますが、

深く息を吐く時に副交感神経(迷走神経)が刺激されてリラックスできるのです。


しかし肝臓が重く、下方に下がっていると深く息を吐けないため
浅い呼吸になりやすく、
交感神経が優位になる傾向にあります。

その状態が続けば身体・筋肉が過緊張状態となり、
身体の様々な部位に痛みが生じやすく、痛みにも敏感になってしまうのです。


横隔膜と肝臓の連結



症例紹介



症例は50台女性。

もともと腰痛がありましたが、近頃痛みに敏感になり、落ち着かないとのこと。
先日より首の痛みも気になる・・・とのことでした。

交感神経が優位になっている状態でした。
そのため常に緊張状態、筋肉も全身的に硬くなっています。

また、痛み止めを長期間にわたり何種類も服用しており、肝臓が疲れ腫れている状態です。

横隔膜が引き下げられ、深く呼吸できず、浅く呼吸数も早い印象でした。


施術内容



まずは全身の緊張を和らげるため、優しい揺らしを用いリラックスしていただきました。

次に自律神経へのアプローチのため、骨盤・背骨の歪みに対する施術を実施。


痛みは軽減しましたが、呼吸はまだ浅く、呼吸が浅い時に過剰に緊張する、首の筋肉に対する施術を行いました。

最後は肝臓の調整にて横隔膜へアプローチ。

呼吸法のセルフケアを伝え、リラックスした様子で帰られました。


少しずつ痛み止めの服用が減ってくると嬉しいですね(^^)



安静時の呼吸



安静時の呼吸では

まず吸う時は横隔膜の収縮によって行われます。
吐く時は筋肉は用いられず、膨らんだ肺が元に戻ろうとする力によって、無意識に吐き出されます。


しかし、今回の肝臓の疲弊などにより横隔膜の動きが悪くなると、(横隔膜の動きが悪くなる原因は他にもありますが)

首や肋骨周りの筋肉を過剰に使って、頑張って呼吸することになり、
首の痛みや腰の痛みにも繋がります。


是非、心地よく呼吸ができるよう、身体の調子を整えて、生き生きと暮らしましょう!(^^)