みなさんこんにちはー!
お待たせしましたー!
今回も症例報告をしたいと思います。
本日は
「腰椎椎間板ヘルニアと診断されて、初めは歩けなかったけど、今はかなり歩けるようになってきましたよー!」
という内容でお届けしたいと思います。
(短めでまとめられるカッコいいタイトル考えたけど、思いつかんかった笑)
最近、臨床で結果がかなり結果が出ていて、患者さんが笑顔で帰られることが多くなってきました(^^)
嬉しい限りです!
さて本題に入っていきましょう。
そもそも腰椎椎間板ヘルニアなの!?
症例は70歳代の男性。
若い頃はたまに腰痛やギックリ腰になったこともあったが、ここ数十年は整形外科的にまったく問題なかったとのこと。
しかし半年程前に、二週間おきに立て続けに二回転倒!
いずれも雨の日で、庭のぬかるみに足を滑らせたり、
車庫のガレージで滑って、
腰と右膝を打った、とのこと
(打撲箇所は二回とも大体同じ箇所)
それから長く歩いていると、右膝が痛んできて休憩せざるを得ない状況になってしまったそうです。
腰の打撲痛は程なくして消失していきました。
整形外科に何箇所か通われ、レントゲンやMRIを撮られました。
いずれもドクターは
「腰のヘルニアの影響で、右膝に症状が出ている」
という見解でした。
一方のドクターには早めの手術を勧められ、もう一方のドクターには他の治療法を試してみてからでも良いんじゃないか?
とアドバイスを受けたり、患者さん自身もかなり不安で困惑した表情で当院へ来院されました。
その際、病院で撮影されたMRI画像を持参されました。
確かに腰椎の椎間板が飛び出ている箇所も見受けられましたが、
私の病院勤務の経験から
「画像通りにヘルニアの症状が出ない方もたくさんいる」
ということをお伝えし、腰椎椎間板ヘルニアの整形外科テストをいくつか実施しました。
しかし痺れや放散痛の増強などはなく、
やはり主訴は
「歩いていると膝が痛くなってくる」
とのことでした。
(初めて来院された時は100メートルも歩けず、かなり近所なのに車で来院されました)
施術を行い、歩く時の膝の痛みが軽減され、歩行が少し楽に感じられた様子だったため、私の見解を患者さんにお伝えしました。
「医師ではないので診断はできませんが、ヘルニアの影響で膝が痛いとは私は思いません。
○○さんの場合、歩く時に股関節が全然使えていないので、その影響で膝周り・ふくらはぎが頑張って過剰に緊張しています。
股関節で体重を支えられれば、膝周りが楽になり、結果的に歩く時に無駄な力を抜くことができると思いますよ!
股関節を使えなくなった原因としては、転倒による痛みで足に無駄に力が入ったためだと思います。痛みでアウターマッスルが優位になると、股関節を安定させるインナーが働きにくくなります。
そのため治療の方針としては、
まずは歩く時に過剰に働く必要のない筋肉の緊張を落とし、股関節の筋肉を働きやすい状態にしていくことが必要と考えています。
一緒に頑張っていきましょう!」
このように明確に、
現在の病態と治療方針を伝えることによって、患者さんがとても安心され、穏やかな表情になったのを覚えています。
基本的な治療方針をまとめると
「歩行(立位も)の際に過剰に働くべきでない筋肉を緩め、使われるべき筋肉(股関節)を働かせていこう!」
ということです(^^)
様々な腰痛椎間板ヘルニアの整形外科テスト
膝にとって良い状態ってなに!?
じゃあ膝にとって、どのような状態がグッドコンディションといえるのか?
自分なりにまとめてみました。
①膝蓋大腿関節と脛骨大腿関節のどちらも満遍なく動くことができ、可動性に偏りがない
②大腿四頭筋とハムストリングスの緊張が緩和されている
③Knee strategy からHip strategy への転換
それぞれどういうことか説明していきます。
まず①ですが、
膝関節は膝蓋大腿関節(膝のお皿の部分)と脛骨大腿関節の2つで構成されています。
当然ですが、この2つの関節がどちらも満遍なく動かないと、
「伸ばしにくい・曲げにくい」というように可動域に制限が出てきます。
膝のお皿(パテラ)は上下左右、回旋ともに良好に動きがあるのか?
膝関節伸展に伴い、脛骨は外旋しているか、また屈曲の時は脛骨の内旋が伴っているのか?
臨床上は膝関節屈曲の際に脛骨内旋が伴わず、外旋位固定され、膝に回旋ストレスがかかっていることが多いです。
今回の症例の場合は、膝関節の可動性に関しては特に問題はありませんでした。
続いて②、③まとめて説明いたします!
まず安静時立位において、大腿四頭筋とハムストリングスが緊張してカチカチ!
ということはありません。
試しに立ってご自分の膝を触診してみて下さい。
膝が良い状態に保たれている人は、余計な緊張が入っていないはずです。
なぜ膝がカチカチだといけないのか?
膝が痛い人=膝を使いすぎている
というシンプルな問題。
もともと人間は動作の中で股関節を使って生きてきた動物です。
人体構造上、股関節で体重を支えるようにできています。
もっというと、脊柱(胸椎)の捻れのエネルギーを
骨盤→股関節→下肢末梢に伝達して、
歩行動作などに繋がっています。
発生学的に考えても納得できます。
人類が生まれる前の海の生物、例えば魚は
頭蓋骨、脊柱、ひれ がありましたが、
脊柱の捻れのエネルギーを、尾ひれに伝え、泳いでいたのです。
人間の理想の動きも、
脊柱の捻れ→骨盤や肩甲骨→手足の末梢というように波及していきます。
このことから、膝に余計な力が入っているのは良い状態とは言えません。
膝は歩行動作の中では、足部へ動きを繋げる滑車のような役割を担っています。
Knee strategy (膝関節戦略)から
Hip strategy(股関節戦略)への転換、
股関節中心の動作に切り替えていく必要があります。
ここで重要になってくる股関節の筋肉が
①大腰筋
体幹と下肢を繋ぐ唯一の筋肉。
体幹の力を下肢に伝えるのに、明らかに重要ですね。
②小臀筋
股関節の安定化に作用する、深層にあるインナーマッスル。
この筋肉の機能不全によって、下肢のアウターが優位になりやすい。
(当然、膝周りにも余計な緊張が入りやすい)
私が今回の症例で特に着目したのが、
「小臀筋」の促通、再教育です(^^)
体幹と下肢を連結させる唯一の筋肉
小臀筋
股関節の安定化に作用する
治療アプローチ
治療の順番ですが、ざっくりと
①下肢の過剰に働いている筋肉をリリース
②下肢や骨盤のアライメント(位置関係)を整える
③股関節インナー(今回は小臀筋)の促通、筋の再教育を行う
④股関節をしっかり使わせる運動を行う
このような順番で進めていきました。
各項目詳細は
①に関して
筋間のリリースを行います。
特にガストロ、前脛骨筋、腓骨筋辺りしっかり剥がしていくと、
膝周りも緩んでいきます。
後は腸脛靭帯のリリース。
股関節が使われないと硬くなりやすい部位です。
②に関して
やはり全身の骨格のアライメント(位置関係)、歪みや左右差を整えた上でトレーニングしないとダメですね。
歪んだ状態で闇雲の運動しても、左右差がさらに助長されたり、変形を促進させる可能性もあります。
このアプローチに関しては、操体法のテクニックを使って改善させていきました。
「アイポジション」や「膝倒し」にて、股関節・骨盤周りの位置関係の修正を行いました。
③に関して
小臀筋に対し、筋の走行に沿ってセラピストの指でダイレクトに滑走性を出していきます。
筋繊維が痛むほどの強い刺激はNGです!
これは決して緩ませる目的でなく、使われにくくなった筋肉の伸長と収縮(滑走性)
を出しやすくするのが目的です。
うまくいくと、下肢の緊張が抜けた状態で、臀筋の収縮がスムーズに行えるようになります!
④に関して
促通させただけでは、短時間で症状が戻りやすいです。
しっかりと臀筋群を使わせ、筋肉の収縮と弛緩を行わせます。
今回の症例も、臀筋のセルフエクササイズをしっかり行って頂いたおかげで、
バッチリ臀筋群が使えるようになりました!
セルフエクササイズ
患者さんに助言したセルフエクササイズを、ここでは2つ抜粋して紹介したいと思います。
①横歩き
このエクササイズによって、股関節外側の筋肉(小臀筋、中臀筋)を鍛えます。
まずは足の親指同士が向かい合うようにし、ハの字をキープ
ハの字をキープしたまま、横に足を踏み出します。
この際、頭から骨盤まで、身体の軸はまっすぐにします。
(疲れてくると、身体を倒すなどして足を横に踏み出そうとするので注意)
横から見た写真。
身体は軽く背筋を伸ばして。
身体が丸まっていると、小臀筋・中臀筋がしっかり働かないので注意!
②小臀筋のストレッチ
横歩きなどでしっかり股関節外側の筋肉を使った後は、ストレッチをしてケアしましょう。
このケアによって、筋肉の収縮←→伸張がされやすくなり、しっかり使える筋肉になります。
伸ばす側の足を組みます。
上の写真は左小臀筋のストレッチです。
組んだ足と反対方向に、
身体を45度くらい捻ります。
自分のおへそと、踵がくっつくようなイメージで、前に屈みます。
痛くない範囲で屈み、深呼吸しましょう。
股関節の外側がじわーっと開くと感じがあればOKです。
ポイントは背中を丸めないこと!
しっかり骨盤の前傾を作っていきましょう(^^)
まとめ
今回の患者さんですが、初回来院時は100メートル歩けませんでした。
その為、当院徒歩圏内にお住まいにも関わらず、車にて来院されていました。
3回程度の施術で、現在1500メートルくらい歩行が可能になりました!
次回の予約日程を決める際、患者さんの方から
「大分良くなってきたので、次回は予約の日程もう少し間隔空けてよいですか?」
と嬉しいお言葉!
良くなっている証拠ですね。
かなりポジティブになられているので、ここまでくれば、もうゴールは目前です(^^)
(来院当初は、先が見えない
あと何回くれば治りますか?
などネガティブな発言が目立っていました)
いや本当に嬉しいです♩
今回、当症例を通じて、改めて股関節の重要性や、体幹機能(脊柱のねじれのエネルギー)を抹消に伝えていく。
この重要性を再認識できました。
歩く時や動作の時、膝〜下腿部に力が入って抜けない・・・
そんな時は上記の機能にエラーがないか確認してみて下さい。
治療アプローチはどんな物でも良いと思います。
色々な考え方があって良いと思います。
ただ人体の構造や、本質的な物は変わりません。
解剖学や運動学などの基礎医学で、「人体にとってナチュラルな状態は何か!?」
そこをこれからも深く追求していきたいと思いました。
今回も最後までブログをお読みいただき、誠にありがとうございました。
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